なぜ、そして・・・
物心ついてから、「サラリーマンは絶対に向いていない」とだけは考えてはいたものの、さりとてこれといった目標もなくブラブラしていた時、バカデカくて色の良い絶品のエメラルドを初めて見た。そう文字どうりこの石に魅入られてしまった。
どのくらいの大きさかというと、喫茶店やレストランなどにおいてあるマッチ箱ぐらいはあった！本当です |
| その後も、他の色石で極上品クラスの石に次々と出会ってしまい、ますますこの「悪徳業界」の深みにはまっていった。安くて当たり前の製品を、高そうに見せて売り、品質の悪い物を量（カラット数）でごまかして、さもお買い得のように思わせる。全て売る側の理屈で成り立っているのがこの業界。 |
しかし何より運が良かったのは宝飾業における師匠である人と、巡り会えたこと。宝石を使った悪徳商法などに走らず、じみちに今のやりかたで続けてこられたのは、師匠のおかげだ。かれこれ25年以上に及ぶ師弟関係は、今も続いている。師匠を通じての仕事は楽しくて、ありがたい。
だから師匠には「長生きするように」といつも言っているのだが、「バカか！」と返される。 |
25年前頃はキャストはまだほとんど無く、職人さんの手造りが当たり前だったのに、キャストの技術が飛躍的に向上し、そして職人さんが消えていった。
替わりに安くてバリエーション豊富なキャストだらけになってきた。その激変の課程を現場で見てきた事が、オリジナルデザインの製作・見積のできる実力が身に付いた。皮肉にも今手造りの一品物をデザインしても、造ってくれる職人さんがいなくなってきている。・・・困っている。 |
| 質の悪い物は安くて当たり前だし、品質が良いから高い値段。価格が決まる理由を全て説明し、納得してもらい、長く愛用してもらってこそ、全ての製品が生き続けることができるのだ。高い安いに関わらず同じ事である。 |
| 充分に納得していただいた宝飾品を、喜んで身につけていただく、これが私の喜びである。 |
これからもこれで行く。 |
